キャンプや災害で登場するガス缶が5℃を切ったら火力が弱まり、最後は鎮火してしまうとしたら
自宅でガスを捻ると炎が出ます。
その炎がキャンプや災害時に使えなくなると登場するのがガス缶です。
特にカセットボンベは夏は焼肉、冬はお鍋やガスストーブなど、多くのご家庭で使われていると思います。
どこでも使えるから便利ですよね。
ガスを含め全ての燃料は気化してから着火するという大前提があります。
その気化が起こらなかったら?
ガスが気化せず着火しない現象をドロップダウン現象と言います。
これが気温5℃を切ると起こるのです(我が家調べ&経験済み)。
5℃を切ると起こる現象なのだから遅かれ早かれ体験します
近年は秋〜冬〜春キャンプが人気です。
空気が澄んでいる、星が綺麗、虫がいない、鍋が美味しいなど、真夏のキャンプはやらないけど、冬キャンプは大好き。
ゆるキャンの影響もあるかもしれませんね。
焚き火を囲んで、鍋をつつきたい・・・が火がつかない。
我が家のキャンプがそうでした。
いつまで経っても煮立たない鍋。
冷え込む体。
しっかり食べられなかった&寝具も不充分で朝まで寝られなかったです。
冬キャンプを含めキャンプなんてしないよ、という場合。
災害に遭い、停電・停ガス(都市ガス)が起こったとします。
エアコンが使えず室温がどんどん下がります。
お湯でも沸かそうとカセットコンロを取り出し、やかんをかけるも沸騰しない。
5℃を切る・・・これは1月末〜2月の早朝ならありうる話です。
ドロップダウン現象は命に関わること。
自分は対象外だったとしても、伝えていきたい内容だと思うのです。
ガス缶について
ガス缶は大きく分けると3タイプあり、
- CB缶(カセットボンベ缶)
- OD缶(アウトドア缶)
- ガスライター用ガス缶
に分かれ、CB缶とOD缶については、
に別れます。
ガスライター用ガスは一般的にはパワーガスが入っていると言われます。
ガス缶の中身は主に3種類のガスがブレンドされています
CB缶(カセットボンベ缶)、OD缶(アウトドア缶)に関わらず、ガス缶に入っている主なガスは3種類。
その気化温度は、
- ブタン:-0.5℃で気化
安いガスなのでガス缶はブタンがメインで、コストや商品の性格により他のガスがブレンドされます。 - イソブタン:-11.7℃で気化
ブタンよりは低い気化温度ですが、高価なので、出来るだけ混ぜたくないのが商売というものです。 - LPガス:-42.09℃で気化
ご家庭で使われているガスはLPガスの量が多い。
圧倒的に低温で気化しますが、コストもそうですがガス缶が圧に耐えられないというのもあるのではないかと思われます。
となっています。
ここで勘が良い人ならわかると思うのですが、100均など格安ガス缶ほどブタン率が高く(ほぼブタン)、パワーガスと呼ばれる寒冷地用ガス缶になるとちょっとイソブタン率が増えますが、それでも10〜20%位です。
LPガスはいずれにしても微々たるものです。
家庭用のボンベはLPガス率が多いですが、あのボンベだから可能なのです。
個人的にはガス缶にLPガスはほぼ入ってないと考えています。
ガス缶トリック〜ガスは気化する時に缶の熱を奪う
メインのブタンガスは-0.5℃なら氷点下まで使えるじゃないか!って思いがちですが、思い出して欲しいのがカセットコンロで使ってたガス缶を取り出そうとした時に汗かいてませんでしたか。
気化するタイミングでガス缶の熱を奪ってしまうのです。
その奪う熱は5〜8℃(我が家調べ)
つまり、-0.5℃で着火したブタンは気化熱でガス缶を冷やすので、5℃位を下回った頃からドロップダウン現象が起こります。
ドロップダウン現象はガスが満タンでも起こります。
ガスを出しているのに鎮火は恐いです。
対策
- パワーガスを用意
寒冷地用のガス缶を用意します。 - 手でガス缶を温める
状況にもよりますが着火はできるかもしれませんが、ずっと握ってても他の作業ができませんね。
着火時間が短いライターはこの方法が有効です。 - ガス缶にカバーを巻く
どこまで有効かは未知数ですが試してみる価値はあると思います。 - ガスを諦める
我が家はこれです。 - マッチやファイヤーライター、オイルライターを用意する
異なる着火装置はあった方が良いです。
我が家はどうしているかというと、
- ドロップダウン現象が起こったら灯油バーナーやアルコールストーブに切り替え
- なのでパワーガスは使わずノーマルガス(100均のを用意しています)
ガスの特性なのだから頑張らなくていい、という考えです。
カセットガスストーブもドロップダウンします
寒いから使うカセットガスストーブですが、例に漏れずドロップダウン現象は起こります。
着火しない火力が上がらない、場合によっては火力が足りず安全装置が働くことも。
あっという間に使えなくなるという状況を理解した上で使わないといけません。
本当に使いたい時に使えないのがドロップダウン。
室内だからと安心はできません。
冷え込んだ時に何が起こるかわかりません。
ガスは便利ですが、一番使いたい時に使えない、とならないように
当サイトでは毎度のドロップダウン現象の話ですみません。
特別詳しい訳でもないのにこんなに話をするのかというと、誰も言わないからです。
特に防災管理者や普及者にはドロップダウン現象を知らないまま普及しているのを見かけるからです。
数十年前にキャンプをしていた時代はGW〜夏休みがシーズンのキャンプです。
正直寝袋なくても大丈夫でした。
友人とバーベキューコンロで肉焼いて、焼きそば作って食べてそのまま就寝というキャンプ。
焚き火なんてありません。
そんな知識のまま出かけた我が家の初めて家族キャンプは10月末でした。
秋〜冬キャンプをするということはどういう事かわかっていないままキャンプに行き、その時は知らなかった現象がドロップダウン現象だということを数ヶ月後に知ることになりました。
その日の夜はシュラフの中で丸まって震えていたと記憶しています。
シュラフの温度表示に限界温度というのがあります。
これは「平均的な成人女性がシュラフの中で丸まったままガタガタ震えたまま6時間経過した温度」だそうです。
あの時、我が家は限界温度に近い体験をしたのかもしれません。
この経験が我が家をドロップダウン対策に走らせたと思えば良い経験です。
今はあの経験をしたくないので、快適温度が-7℃、-8℃というシュラフを使っています。
ドロップダウン現象になり、ガスの火がトロ火になりほぼ鎮火。
いつまで経ってもぬるま湯の鍋・・・なんてことはなくなりました。
暖かさが欲しいなら自宅でもキャンプ場でも用意できるように。
暖かいご飯やお茶が飲みたいなら用意できる。
この当たり前が5℃を切ると当たり前じゃなくなる。
灯油バーナーは極端な例ですが、パワーガス1本手に入れるだけでも良いです。
しっかり対策をしたいものです。
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