ライター(ガス・オイル・電子)からマッチ・火打ち石、さらにガス缶(CB缶・OD缶)まで、燃料・点火方式・使用可能気温を調べてみました。
キャンプや防災にも役立つ知識を一挙にまとめました。
火は環境に左右されます
火を扱う道具は、種類・燃料・点火方式・使用環境(気温・風)によって「使いやすさ」が大きく変わります。
日常使い、アウトドア、非常用、寒冷地…それぞれに合った選び方があります。
- ライターの種類(ガス/オイル/電子)
- マッチ・その他の着火方法(火打ち石・スターター)
- 燃料・ガス缶の種類(ノーマルガス/パワーガス/CB缶/OD缶)
- 使用可能な気温・注意点
- 比較表・ドロップダウン形式の補足
ライターの種類と点火方式
ガスライター
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- 燃料:ブタンガス(ノーマルガス)、ガスライター用ガス(厳冬期用)
- 点火方式:フリント式(石を擦る)/圧電着火式(ボタン押し)
- 使用可能気温:10℃以上が目安(ガスの気化に依存)
- 特長:手軽・安価・日常使いに最適。寒冷・高所では火力や気化に弱い。
ターボライター(ジェットタイプ)
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- 燃料:高圧ブタンガス/内蔵ノズルで風にも強い
- 点火方式:主に圧電着火式
- 使用可能気温:気化条件により多少改善されるが、やはり低温では注意。
- 特長:風の強い状況・アウトドア向きだが、極寒ではガス自体が冷える影響あり。
オイルライター
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- 燃料:ライターオイル(ナフサ系)
- 点火方式:フリント式(火打石)
- 使用可能気温:約 ‑10℃〜40℃ 程度
- 特長:寒冷地に比較的強い。メンテナンスが必要(芯・フリント交換など)。
プラズマライター(電子式)
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- 燃料:内蔵充電バッテリー(USB充電等)
- 点火方式:電気アーク放電式(火炎ではなく放電)
- 使用可能気温:約 ‑10℃〜40℃ 程度(バッテリー性能が鍵)
- 特長:風に強く、ガス不要。だがバッテリー切れ/寒冷地での電池能力低下には注意。
マッチ・その他の着火方法
一般マッチ
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- 燃料/仕組み:リン化合物等を摩擦で着火
- 使用可能気温:約 0℃〜30℃ 程度
- 特長:軽く・安価。湿気・風に弱いため屋外や非常時には扱いに注意。
ストームマッチ(防風マッチ)
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- 燃料/仕組み:特殊加工されたマッチで、防風・防水性能あり
- 使用可能気温:約 ‑20℃〜40℃ 程度
- 特長:風雨雪などの過酷な環境にも強く、登山・非常用に最適。
ファイヤースターター(マグネシウム・フェロセリウム式)
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- 燃料/仕組み:金属棒を削って火花を出し、着火剤併用で火を付ける
- 使用可能気温:約 ‑30℃〜対応可能(環境に強い)
- 特長:半永久的に使える。準備(着火剤・ほぐした火口)が必要で、やや技術が要る。
火打石(伝統的な火起こし)
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- 燃料/仕組み:石+鋼を打って火花、火口(チャークロスなど)を燃やす
- 使用可能気温:環境次第だが、自然条件に左右されにくい
- 特長:非常用・サバイバル用途としてのロマンあり。初心者には難しいが役立つ技能。
燃料・ガス缶の種類
ノーマルガス
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- 成分:ブタンガス100%程度
- 使用可能気温:おおよそ10℃以上で安定
- 特長:一般的。安価。寒冷地にはやや不利。
パワーガス
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- 成分:ブタン+イソブタン+プロパン混合(寒冷対応)
- 使用可能気温:‑10℃前後〜も使用可
- 特長:寒さ・高所でガスの気化が安定しやすく、アウトドア・登山向け。価格高め。
CB缶(カセットボンベ缶)
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- 用途:家庭用カセットコンロ用缶。形状細長。
- 燃料:ノーマルガス(主にブタン)
- 特長:スーパー・コンビニで容易に入手可。価格安。低温/高所では気化力が低くなる可能性あり。
OD缶(アウトドア缶)
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- 用途:アウトドア用ストーブ・バーナー用缶。丸型ねじ込み式。
- 燃料:ブタン・イソブタン・プロパン混合など(ノーマル/パワー変換あり)
- 特長:寒冷地・高山仕様のモデルあり。信頼性高いが価格は高め。
比較表
| 種類/方式 | 燃料/仕組み | 点火方式 | 使用可能気温 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ガスライター | ブタンガス | フリント式/圧電着火式 | 約 10℃〜 | 日常使い・安価・軽量 |
| ターボライター | 高圧ブタンガス | 圧電着火式 | 約 5〜10℃以上 | 風に強い・アウトドア向け |
| オイルライター | ライターオイル(ナフサ系) | フリント式 | 約 ‑10℃〜40℃程度 | 寒冷地でも比較的安定・メンテ必要 |
| プラズマライター | 電気(充電式) | アーク式 | 約 ‑10℃〜40℃程度 | 風に強く、ガス不要・電池切れ注意 |
| 一般マッチ | リン化合物等 | 摩擦式 | 約 0℃〜30℃程度 | 軽量・手軽・風・湿気に弱い |
| ストームマッチ | 加工マッチ | 摩擦式 | 約 ‑20℃〜40℃程度 | 防風・防水仕様・非常用に最適 |
| ファイヤースターター | 金属棒火花+着火剤 | 打撃式 | 約 ‑30℃〜対応可 | 長寿・技術要・濡れても使いやすい |
| 火打石 | 石+鋼+火口 | 打撃式 | 環境依存 | 伝統的・サバイバル向け・スキル必要 |
| ノーマルガス | ブタン100% | ― | 約 10℃以上 | 安価・一般用途 |
| パワーガス | ブタン+イソブタン+プロパン混合 | ― | 約 ‑10℃前後〜対応可 | 寒冷地・高所向け・価格高め |
| CB缶 | ブタン系ノーマルガス | ― | 春秋・日常用途向け | 入手しやすい・価格安 |
| OD缶 | 混合ガス(ノーマル/パワー) | ― | 寒冷・高所対応可 | 信頼性高・アウトドア向け・価格高め |
使用シーン別おすすめ
- 自宅・日常用:ガスライター(ノーマルガス/CB缶)
- 春・秋のキャンプ:ターボライター+CB缶/ノーマルガス
- 冬キャンプ・登山・高所:オイルライター or ファイヤースターター+OD缶(パワーガス)
- 非常用・防災備蓄:プラズマライター+ストームマッチ
- サバイバル・野営用途:火打石+ファイヤースターター
低温下でガスが気化しにくくなる理由とは?:ドロップダウン現象
ガスライターやカセットガスバーナーなどでは、「ガスが気化すること」によって火が付きます。
しかし、気温が低くなるとガスが気化せず、火が付きにくくなる現象が起こります。
これは特に冬場や高山で起きやすく、使用できる温度に制限がある燃料の性質によるものです。
なぜ起こる? ― ガスと気化の関係
- ブタンガス(ノーマルガス)は約10℃以下になると、気化しづらくなる性質があります。
- 気化とは、液体から気体に変わること。この「気体」が燃えて火がつきます。
- 寒い環境では液体のままのガスが出てこず、「シューッと音がしても火が付かない」ことが多くなります。
気化しにくくなる温度目安
| ガスの種類 | 気化限界温度(目安) | 対応環境 |
|---|---|---|
| ブタン(ノーマル) | 約-5℃ | 春〜秋の日中など |
| イソブタン | 約-11.5℃ | 秋〜冬の屋外向け |
| プロパン | 約-40℃ | 冬山・寒冷地も対応可 |
対策は?
- 冬キャンプ・登山では「パワーガス(プロパン入り)やOD缶」を使用する
- オイルライターやプラズマライターなど、気温に左右されにくい道具に切り替える
- ガス缶を懐や湯たんぽで温めてから使用する(※安全に注意)
火がないと命に関わることも
火器・燃料・点火方式を正しく選ぶことで、「使えなかった」「寒くて火がつかなかった」というトラブルを減らせます。
特に気温が低い環境(冬キャンプ・登山・高所)では、ガスの種類(パワーガス)、ガス缶のタイプ(OD缶)、着火方式(オイル/ファイヤースターター)を意識するのがポイントです。
何を選べばいいか迷った時には、このガイドを参考に用途・環境に合った選択をしてください。
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