🟡「キャンプ=防災に役立つ」は本当か?その考え、ちょっと待った!
カフェで記事を書いているとき、近くの席からこんな会話が聞こえてきました。
「キャンプって防災に役立つんでしょ?」「お洒落だし、やってみたいなー!」
…その瞬間、心の中で叫びました。
「ちょっと待ったぁー!!」
テレビの情報かもしれませんが、キャンプをしていれば防災になるという言葉が、今、多くの人に誤解を与えているように感じます。
もちろん、キャンプは素晴らしい趣味であり、学びです。
でも、「防災」とは別の次元で考えなくてはならない現実があります。
🔧キャンプ場にある“当たり前”は、災害時には“ない”
キャンプを楽しむ多くの人が利用しているのは、いわゆる「高規格キャンプ場」。
そこには、
- 水道や井戸水、給湯設備
- 清潔なトイレ
- 炊事場
- 灰捨て場やゴミ箱
- シャワーや温泉
- 売店や自販機
- 電源やWi-Fi環境
といった、整った設備が揃っています。
ある意味「アウトドア風な日常」と言える快適さ。
でも、災害時には──
それがすべて使えなくなる世界
です。
電気がない。
水がない。
トイレが使えない。
ゴミの処理もできない。
火の始末をする場所もない。
自販機には飲み物があるのに電源が落ちてて使えない。
売店?建物ごと潰れてるかもしれません。
お金があっても、物流が止まれば意味がない。
つまり、「あって当たり前」が全部消えるのが災害なんです。
🧍♂️キャンプでは気づけない「災害の不便さ」
私自身、防災のためにキャンプを始めたクチです。
でもやってすぐに、こう思いました。
キャンプから防災は見えない。
少々の不便を「楽しむ」のがキャンプ。
でも、災害は「少々の不便すらない世界」。
そこで初めて、災害とキャンプは別なんだと気づきました。
🌁東京という特殊な環境──「逃げ場がない」現実
東京は便利です。
コンビニがある、電車がある、Wi-Fiがある。
でも、それは「日常の東京」。
災害時には、
- 隣も下も上も壁一枚隔てて人が住んでいる
- 地面に降りればマンションの数百人が一斉にそこにいる
- 火を起こす場所も、テントを張るスペースもない
- 水は手に入らない、人が多すぎて足りない
想像できますか?
1フロアに2人、10階建てなら20人。
400戸のマンションなら800人が一気に“地面に降りてくる”のです。
エレベーター渋滞で降りてこられないのかもしれません。
火を起こす?
無理です。人が多すぎて危険です。
トランク1個?
転がせません。混雑しすぎて。
🌲ブッシュクラフトやソロキャンプも万能ではない
ブッシュクラフト的な技術があれば災害も乗り切れる?
一理あります。
でも東京ではそれすら厳しい。
- 木がない
- 地面がコンクリート
- ナイフを使えば通報されかねない
- 枝も薪も手に入らない
- 周囲に人がいる。迷惑をかけられない
つまり、自然と向き合うための技術が、都市の中では封じられるのです。
🎒キャンプで学べるのは「自助体験=自分でなんとかする」
キャンプには、確かに素晴らしいことがあります。
それは「自助の練習ができる」という点。
多くの防災計画は「避難所生活」を想定します。
でも、避難所に入れるのはごく一部。
我が家のように集団生活が苦手(コミュ障)な人にとって、避難所は地獄かもしれません。
また、国や自治体の対応は「遅れて当然」です。
それは悪ではなく、人命救助を最優先するから。
だからこそ、
自分のことは、自分で解決する=自助こそが防災の基本
なんです。
🛠️軽さ・シンプルさが「逃げる力」になる
いくらギアを揃えても、それを持って逃げられなければ意味がありません。
本当に必要なのは、以下の4つ:
- 軽いこと
- 多用途に使えること
- 壊れても代用が効くこと
- 手放せる覚悟があること
常に装備を見直していますが、結局はゴールゼロやSOLエマージェンシーブランケットを必ず入れています。
百均にも似たものはありますが、信頼性と耐久性は別格。
“これで命を守れる”と感じた数少ない装備の一つです。
🏃♀️最終的には「逃げる」しかない
どんなに装備を整えても、最終的には──
逃げるが最善。
なんです。
荷物は捨ててもいい。
ギアは置いてもいい。
命を守る選択を、優先できること。
それこそが、「本当の防災」だと思うのです。
✅「キャンプ≒防災」ではなく「キャンプ≒自助練習」
キャンプを楽しむことは、防災への第一歩になります。
でも、それだけで災害に備えられたと勘違いするのは危険です。
- キャンプは遊び、防災は現実
- 楽しさと命の重さは違う
- 自助を育てる体験としてキャンプを活用することはあり
装備よりも、判断力と覚悟を
これからもキャンプは続けていきます。
子どもと過ごす時間として、自然と向き合う学びとして。
でも、防災を語るなら──
まず「自分はどう逃げるか」から始めるべきだと思っています。
そしてこれからも、キャンプ道具を飛び出し、「生きる力」へとつながる策を探していきたいと思います。
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