南海トラフ地震への不安が高まる中、多くの防災普及者がSNS界隈で「絶対に準備しなければならない」といった強い言葉が投げられています。
個人的には何をどう用意するかという是非はともかく、意識としては必要だろうと思っていますし、どうしても何とかしたい!救いたい!という思いから強い口調になるのは理解できます。
防災に完璧はない!というのが当サイトの結論です。
理由は、環境や条件がそれぞれ違うのと、未来は誰もわからないからです。
雪の降る北海道と暖かい沖縄。
1人と家族。
都市と無人島(これは大袈裟ですけど)。
これを「絶対」という言葉でまとめてしまっても良いのだろうか?
水は1日3Lと言いますが、倒壊してしまったら使えないかもしれない。
そもそも家にいる時に災害が起こるって誰が決めたんだろう。
私のように職場は5分のところにありますが、18時間は職場を含めて外出しているという人もいますし、職場の上の階に住んでいる大家さんはご高齢のため殆ど外出をしません。
本当に同じで良いのかわかりません。
「絶対」「〜でなければならない」という言葉が持つプレッシャーが、かえって防災を難しくしている可能性があることを考えてみたいなと思います。
網羅思考と仮説思考:防災における二つのアプローチ
思考には、「網羅思考」と「仮説思考」という二つの異なるアプローチがあると言われています。
- 網羅思考は、あらゆるリスクをカバーしようとするアプローチで、すべての可能性を考慮して準備を整えることを目指します。しかし、すべてのリスクを網羅することは現実的に困難であり、限られた時間やリソースの中で行うことは非常にストレスフルな作業となることがあります。
- 仮説思考は、予測や想像力を活かし、限られた情報や経験に基づいて最も可能性の高いリスクを想定し、それに対して準備を行うアプローチです。未来を見通し、最も重要な対策に集中することで、効率的かつ現実的な防災対策が可能となります。
多くの防災普及者は網羅思考の持ち主なんじゃないかと感じていますが、当サイトでは仮説思考で考えます。
理由は単純で、お金も、スペースも限りがあると考えているからです。
更に仕事や趣味、家族のことなど、やらなきゃいけないことや楽しいことがあるのに、いつ、どんな規模で、どんな災害が起こるかわからないことを四六時中考えなさいというのは疑問でしかありません。
言って見れば怯えて生きなさいって言っているようなもの。
人はDNA的に恐怖に立ち向かう性質があります。
恐怖を煽っても無駄です。
だからキャンプに絡めてきました。
予測と想像力を活かした防災の考え方
防災において重要なのは、未来を予測し、想像することだと思っています。
完全に予測することは不可能ですが、過去の経験や現在の情報を基に未来のリスクを想像し、最も必要な準備を行うことが求められます。
例えば、当サイトで当サイトで紹介している防災EDC(EveryDayCarry)は、仮説思考に基づいた未来予測の一環です。
- 普段、仕事で外出しているから災害に遭うのは外出先だろう。
- 家に帰りたくなるだろうから、携帯できる最低限の防災グッズが良いのではないか?
- 携帯するならペットボトル1本分のサイズと重量じゃないと持ち歩けない。
- 携帯できる災害対応グッズを日常的に持ち歩く(=防災EDC)ことで、どこにいても災害が起きた際に迅速に対応できる準備を行うことができます。
過去の震災時の経験から「いつどこで災害が起こるかわからない」という仮説に基づき、未来を見通した対策です。
「絶対」という言葉が持つプレッシャー
「〜しなければならない」という強い言葉には網羅思考の香りが漂います。
となると、すべてを完璧に準備しなければならないと感じる人が結構多いのではないか?
しかし、その結果、何を優先すべきかがわからなくなり、逆に防災対策が滞ってしまうのではないか?
仮説思考と予測、そして想像力を活かすことで、完璧を目指すのではなく、現実的なリスクに対して柔軟かつ効果的な準備が可能になります。
未来を見通した現実的な防災対策
防災対策を考える際には、未来を見通す力を活かし、最も可能性の高いリスクに備えることが大切だと考えています。
すべてを網羅するのでは現実的ではないので、過去のデータや経験を基に、未来に起こりうるシナリオを想定し、それに対する具体的な対策を講じることが効果的なのではないか。
例えば、ハザードマップを活用して、自分の住むエリアでどのような災害が起こりやすいのかを予測し、どの方向に避難すべきかを事前に知っておく。
これならコストゼロで防災できます。
このように、未来を見通した知識や対策こそが本当の意味での防災と言えるのではないかと思います。
その上で当サイトのような試みが使えるのだと感じます。
未来は誰にもわからないし、防災に完璧なんてないのだから
「絶対にこうしなければならない」という言葉に囚われることなく、網羅思考から仮説思考へと切り替え、予測と想像力を活かした未来を見通す力で、より現実的で効果的な防災対策を進めることができます。
当サイトでは、仮説思考をベースに、こんな事が起こるのではないか?それならこんな対策が必要なのではないか?とキャンプを絡めて実践しています。
防災は完璧を目指すのではなく、一歩一歩、現実的かつ未来を見通した準備を進めることが大切です。
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