仕事が立て込む季節、
つい防災活動からは少し距離を置いてしまっています。
でもそれを悪いこととは思っていません。
生活の焦点が変わると、それまで見えなかった景色が見えてくる。
そんな時期は防災視点のアップグレードタイムだと思っています。
でも、ふとした瞬間に訪れる余白の時間──それが、「台所で仕事する」でした。
今回は、防災とは少し離れて、最近台所で楽しんでいる「ストウブ」との時間についてご紹介します。
牛すね肉のトマト煮込み──じっくり煮込む時間を楽しむ
冷蔵庫に眠っていた牛すね肉を見つけて、「これで何か作ろう」と思い立ちました。
シンプルに塩胡椒して焼き、玉ねぎと一緒に炒めて、トマトピューレ・ニンニク・コンソメを加えてストウブの蓋を閉めます。
沸騰後、弱火で30分煮たけれど、肉はまだ硬い。
さらに30分煮込むと、不思議なことに急に柔らかくなってきました。
その後は火を止めて20分。
圧力鍋のような「とろとろ」ではないけれど、妙にしっとりな食感とまとまった味わいに仕上がりました。
何より印象的だったのは、ストウブの中で香りが逃げずに閉じ込められている感覚。
香りがまとまるから、味がまとまるのですね。
煮込み時間を90分、120分にすればもっと奥行きが出そう。
まだまだ可能性を感じます。
ブリの炊き込み玄米ごはん──音でわかる火入れの変化
家族から「このブリ、使ってくれる?」と手渡されました。
せっかくならと、玄米炊飯に挑戦。
考えてみたら玄米炊飯で使えないかと思ってココハンMを入手したのでした。
塩をしたブリを焼き、赤玉ねぎと一緒に玄米にのせて、醤油・みりん・酒・昆布だしを加えて加熱。
沸騰したので蓋を閉めて極弱火で10分、消化して10分という一般的なストウブ炊飯法で炊いてみました。
出来たかなと蓋を開けてみると、まだ水がひたひたに残っている…。
静かに蓋を戻し、極弱火で追加加熱することに。
途中から「ブクブク」と聞こえる音が突然ピタッと止まりました。
遊んでいた子どもも「音が変わったね」と言うほどの変化だったので、ここで消化し10分蒸らし。
開けてみたら炊けてるー。
少し水っぽいながらも美味しそうに炊き上がっていて、ごま油を垂らして混ぜるて完成。
驚くほど風味豊かな一杯になりました。
炊飯器や圧力鍋と比べて、ストウブ炊飯は“香り”が際立つ。
調理が「音」で分かる楽しさも魅力です。
無水調理という言葉の向こうにあるもの
ストウブを使っていてよく「無水調理ってなに?」という疑問を見かけます。
個人的には「無加水調理」と表現したほうが近い気がします。
水を加えず、食材の持つ水分で調理する──そんな意味ではありますが、「無水」はあくまで象徴的な言葉。
言ってみれば、魅惑のアイコンのようなものだと思っています。
地名のように昔からある言葉ではないからこそ、自分なりの解釈で、自分のやり方で良いのが、ストウブの楽しいところです。
ストウブは原始的で、だから面白い
火加減と時間だけ。
原始的だからこそ、自由で、奥深い。
まだまだこの小さな鉄鍋から、たくさんの発見がありそうです。
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